エビネのような温帯性のランは
遅くとも5月頃まで行う。
7月頃から新芽が出て、晩秋までに充実する。
高山植物。
この植物には高山で生きるための
体内時計・・・長日、短日へのDNAが
組み込まれている。
しかし、北回帰線から南回帰線の間に
ある高山の植物と、北回帰線以北、
南回帰線以南の高山植物では、
大きく異なる。
例えば、万年雪がある山形県の月山
では、下のほうから雪が解けて、それにしたがって
高山植物は花を開くが、遅くまで雪が残る
場所では、同じ植物でも9月が開花期となる。
10月に入ると雪が降るから、結実までの
期間は極端に短くなる。
このことを植物は感知している。
例えば ラン科植物の高山植物である
ウズラハクサンチドリ。
開花から種子が稔までの日数は、
雪の到来を逆算している。
赤道直下の3000m、4000mの高山。
ボルネオ島のキナバル峰。
ペルー、エクアドル、コロンビアの高峰。
マスデ・・・・。
前記のハクサンチドリとは異なる。
常に長日条件・・・。
霧による変化のない湿度。
バック吹かしする場合、
以上のようなことも知識として知っておく
必要がある。
バック吹かしを行う時期。
年中何時でも良いということではない。
不思議なことに葉のないバルブにも「体内時計」がある場合があるからである。
例えば、Cymbidiumの場合は「夏至」までにバックを外さないと、芽が動き出さない場合が多い。
四季の変化が自生地にある場合、当然考えられる進化の方向である。
種子における発芽抑制物質と同じような理由である。
北回帰線、南回帰線の間にある熱帯エリアのランはどうか。
このエリアにまたがって自生するラン、例えばカトレアなどは、非常にややこしいことになる。
赤道より北に自生する原種。
赤道より南に自生する原種。
これを最初に分類する必要がある。
特にカトレア類では、このことが重要である。
全く体内時計が異なるDNAを持っているからである。
開花期が種によって全く異なる。
リードの出る時期も異なるからである。
熱帯であっても北回帰線と南回帰線の間で太陽高度角が変化し、
これを察知して、毎年定まった時期にリードを伸ばしたり、開花したりしている。
このことが、バック吹かしの場合のポイントになる。
例えば、北半球のコロンビア、エクアドルに自生ものと、
南回帰線以南に自生するソフロでは、全く異なることになる。
この詳しいことは東京天文台のサイトで調べてください。
バック吹かしを行う場合、一番適確なのは、基本種で自生地で何月に新芽が伸びだすかを観察すること。
この時期にバックを植えれば、最も自然法則にかなっていることになる。
なぜなら、その種において、新芽が伸びる時期というのは栄養生長の始まりだからである。
この場合南半球に自生するものは、日本と季節が逆ということを計算しなければならない。
北回帰線、南回帰線の間の熱帯エリアのランでも、太陽高度角を感知して、
開花期もリードの発生時期も、微妙な季節の光の変化に合わせているからである。
Cymbidiumに例をとれば、ロイアヌム、トラシアヌムなどの春からリードを伸ばす系統は、
遅くとも夏至までにバック吹かしを行わないと、良い結果は得られないことが多い。
秋に新芽が伸びだすエリスロスティラムの血の強い系統は、温度さえあれば9月に
バック吹かししても芽は動き出す。
葉のないCymbidiumのバックが、何処で何を感知して、潜芽をコントロールするのか。
カトレアのようにバックでも葉がついている場合は、この葉で太陽高度角から
地球のサイクルを感知することは出来る筈であるが・・・。
以上のことから、バック吹かしの時期の範囲は、
トップの芽が動き出す1,2ヶ月前から、遅くとも1,2ヶ月後までの期間であろう。
栄養生長期の初期である。
つまり段々日が長くなる時期である。
日本では太陽高度角が夏至の時最も高いから、その時期まで行えばよいことになる。
7月になってからでは、潜芽が実際に動き始めるのに約1ヶ月ほど要するので遅いということになる。
止め葉が出る時期以降から新芽の出るまでの期間というのは止めるべきである。
新芽の成熟、生育ということを考えれば、この期間内では、なるべく早いほうがよいことになる。
新しい芽を伸ばして自立した株になるには、
止め葉が出る時期まで、より多くの光合成を行なう必要があるからである。
遅い時期から出た芽は、生育パターンが異なる場合が出てくる。
丁度、南半球から輸入した状態になる。
このことは雨期、乾期という気候のサイクルではなく、宇宙のサイクルに合わせていると考えられる。
特に原種は芽生えたらそこから移動することは出来ない。
その場所に合わないものは淘汰される。
バックからの芽生えの時期を誤り、小さく低温、乾燥などに耐えられない中に、
厳しい条件にあえば全滅する。
新参者のランが自生地で生き続けるには、全滅につながる全てのことを回避する機能と
システムを構築している。この中にバック吹かしの時期というものも含まれている。
野生植物の法則である。
交配種は秋咲きと春咲きを交配するという自然界ではありえない組み合わせで生まれたものもあるから、
原種ほど厳然とした法則がない。しかし、野生時代のDNAを全て捨てているわけではない。
春になれば。。。。自然と栄養生長を始めるもの多い。
SUGOI-neはバック吹かしの切り札である。
無造作に芽が出てくる。
このことは貴重な原種、名品の増殖に素晴らしい力を発揮する。
業者サイドから見れば、これほどオイシイことはない。
このバック吹かしも一年中何時でも良いということではない。
スムースな芽だしを行うには、自然の法則を知る必要がある。
バルブというのは水分、養分の貯蔵庫である。
同時に、種族保存の役目もになっている。
山火事、水害、旱魃などで葉が全滅した場合でも、バルブの養分、水分で絶滅を防ぐことが出来る。
このことを利用して増殖に利用している。
バックバルブ、株が順調であれば、芽だしすることなく潜芽の状態で休眠しつづける。
しかし、トップの芽が損傷し生育出来ない状況になると、種族保存の本能が目覚めて、
休眠して芽が動き出し、新たな株を形成することになる。
このことを利用して、株分け時に、または大量増殖を目的にバルブを一個一個のばらして、
新しい個体を作ることが出来る。メリクロンのない時代は、もっぱらランの増殖はこの方法に
頼るしかなかった。
メリクロンの染色体異常を考えれば、貴重な株を保存するにはバック吹かしは捨てがたい技術である。
SUGOI-ne、スーパードリームによる
バック吹かしについて
宇井清太
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